あいまいな目標をいかに数値化するか

■“具体的目標”と“抽象的目標”の違いを知る

目標とは、目的を達するための手段
として設けられるもの。

利益拡大が目的なら、
売上増、あるいは費用削減が目標となりましょう。

目的が顧客の満足向上なら、リピート率、
あるいは顧客満足度向上(調査数値改善)が
目標となるかもしれません。

目標設定の巧拙は、目的達成可否に大きく影響します。
本当にその目標をクリアすることで目的が達成されるか、
目標設定段階における検討が十分に必要なのは、言うまでもありません。

さて、目標は大きく二分されます。
それが具体的に示されるものと、
抽象的に提示されるもの。

売上○○億円、不良品率〇%以下、
シェアNo.1などのように、
数値で示されるのが具体化の例。

一方の抽象的とは、
安定成長、業務効率改善、従業員満足向上などのように、
言葉としては理解できるものの、示す中身がデジタルに
なっておらず、あいまいなものを指します。

本来であれば抽象的目標というのは好ましくありませんが、
実際にはそういった目標も数多存在。
自ら目標設定する場合は、具体化=数値化必須

■抽象的目標は、具体的数値に置き換え、姿を捕捉する

ポイントは、抽象的な目標、
つまり示す内容が不明確な目標の場合、
それをいかに数値化するか。

目標を数値化できなければ、達成可否の評価ができず、
最後は評価者の人情次第、という状況に陥りかねません。
それは避けたいことでしょう。

ですから、基本的に目標は数値化する、もし抽象的な目標を
(会社・上司などから)提示された場合は、その目標に込められた
思いを具体的数値に置き換える
、という作業を行います。

そしてこれらを通じ、目標を
目に見える(把握可能な)姿にしていくのです。

例えば業務効率向上という目標を提示された場合、
それを次のように具体化(数値目標化)していきます。
(抽象的目標を提示した人物と相談しながら
 検討すべきなのは、言うまでもありません)

1)残業時間の前年比15%削減。
2)外注業務○○万円分の内製化(現状人員体制にて)。
3)○○業務対応時間10%削減(マニュアル化による他者応援体制強化/平準化)。

このように具体化することで、
「では残業時間を15%削減するために、どうすべきか」
という、次の方策検討のステップに入っていけるのです。

■どのような数値を目標とすべきか???

どのような数字を目標として置くべきかは、
一概に言えません。

「これだ!」というものが浮かばない時は、思いつくものを
まずは仮置き
し、その数値をクリアすると本当に目的を達成できるか、
仮説を立て、検証していくしかないでしょう。

そういった点では、目標に縛られるのではなく、目的優先
途中の軌道修正(目標自体の見直し)も視野に置きながら
進めるのが、数値化の難しい目標における要諦と言えましょう。

ここで、抽象的な目標をどのように
具体化していくか、例を挙げてみます。

上述の従業員満足向上を取り上げましょう。
これなどは抽象的目標のさいたるものと言えます。
なぜなら、従業員が何に満足するかは一律ではないから。

残業がなく、毎日定時に帰れることが嬉しい人もいれば、
残業など全く苦にせず、とにかくたくさんの賃金が欲しい、
という人もいます。

他方、責任ある仕事を
任せられることで満足度が高まる人も。
どうするか。

従業員にアンケートを取るという手もありますが、
従業員が本音を回答するとは限りません。
(アンケートが「個人評価に関わるかもしれない」
 と、穿った見方をされる可能性も)

ではどうしたら・・・。

こういった(数値)設定が難しいものについては、複数の観点を
目標に組み込み、試行錯誤を重ねながら、できるだけ多くの従業員が
満足できるように適宜目標を修正していく、というのが現実解。

残業時間/個人評価制度に対する満足度/担当業務の満足度などを、
データ(残業実績)、アンケート(時に外部機関を使い、客観性を持たせる手も)、
ヒアリングなどを通じて把握することが、スタート台となりましょう。

具体的な目標で言えば、
1)定時退社日の定時退社励行(100%実施による残業抑制)
2)個人評価制度満足度アンケート実施(100%回収による網羅性確保)
3)担当業務満足度ヒアリング実施(対象○○名全員実施による偏り排除)
などが挙げられます。

時に従業員の声を目標に織り込みながら
進化させることで、目的である従業員の
満足度が向上していくはずです。

■KPI/KGIを使い分け、目的に確実に近づく

最後にKPI、KGIにも触れましょう。
KPIとは、Key Performance Indicatorの、
KGIは、Key Goal Indicatorの略です。

違いは、KGIが結果指標であるのに対し、
KPIが結果に影響を与える
プロセス指標であること。

売上○○億というのは
結果的にもたらされるものですからKGI。

一方、売上○○億達成のために、
新規顧客開拓○○件獲得、既存顧客取扱い製品○○%増などを
設定したとしたら、それはKPIとなります。

目標設定に際しては、結果指標だけでなく、
プロセス指標も適宜盛り込む
と、進捗把握がしやすく、
軌道修正など、臨機応変な対応が取りやすくなります。

あいまいな目標含め、数値化の際、
この辺りも配慮すると、より実行性の高い目標に
なると思いますが、いかがでしょうか。

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