■「分かりにくい」ビジネス文書を分類すれば・・・
あなたはもしかして、こんな風に言われていますか。
「何が言いたいのかよく分からないよ」
「もう少し内容を整理してくれないかな」
「あいまいな文書だね」etc。
「分かりにくい」と言われる文書には
共通点がいくつかあります。
課題が分かれば後は対策のみ。
ということで、あなたのビジネス文書の書き方、
点検してみませんか。
分かりにくい文書に見られる症状を分類すると
次のようになります。
まずは内容面。
1)全体構成が不適切。
2)結論が不明確。
3)脆弱な説得力。
4)信憑性に対する疑念。
続いて文章面。
5)長過ぎる一文。
6)主語述語の不一致。
7)不適切な修飾。
8)誤解を招く接続語の使用。
それぞれ説明しましょう。
■YesかNoか、主義主張を明確に!
内容面の最初は、
1)全体構成が不適切。
ビジネスにおいて最も重視されるのが結論、
つまり何が言いたいかです。
文書を作成するなら、そこに何らかの目的があります。
それを伝えきれない流れ、それが不適切な構成です。
冒頭に結論、続いて根拠等の詳細説明という流れが
最も人に伝わります。
ありがちなのが、冒頭に詳細な説明を行い、
最後に結論を述べるという、“結末は最後”方式。
伝わらないのは、実は結論を読んでもらって
いないからかもしれません。
内容面2つ目は、
2)結論が不明確。
ビジネスにおける結論とは主義主張です。
それはYesかNoかはっきりさせること。
日本語は主語が省略されがちですから、
その時点であいまいさを内包します。
それにも関わらず結論がなく、問題点の指摘だけ、
あるいは多数の方法論提示だけに終わっては、
「で、何が言いたいの?」となってしまいます。
例えば依頼なのか報告なのか、提案なのか要請なのか
といった文書の目的(あなたの結論)を意識すれば、
表現が変わって伝わりやすくなるはずです。
■納得性ある根拠の存在が文書の信頼を増す
内容面3つ目が、
3)脆弱な説得力。
結論が明確でもその根拠に納得性がなければ
独り善がりの意見とみなされます。
納得性を高める一番の方法が数値データ活用。
上からの指示があるならそれも十分な根拠となります。
何れにしても主義主張の根拠をきちんと記しましょう。
もしかしたら「少し整理して」という言葉の裏には
「それだけだと信用性が乏しいな」という言葉が
隠れているのかもしれません。
内容面の最後が、
4)信憑性に対する疑念。
事実と意見が、何れかはっきりせず
混在する文書は信憑性を問われます。
意見を記すのであれば、
なぜそのように言えるか、
その根拠を文書内で明かしましょう。
客観的事実に基づく意見であれば、
十分な根拠として機能しますので。
■30~50文字、漢字2~3割が一文の目安
続いて文章面。
初めに、
5)長過ぎる一文。
人が理解しやすい一文の長さは文字数で30~50程度。
漢字が2~3割と言われています。
寸断されただけの文書はかえって読みにくくなりますから、
語尾に変化をつけながら一文当たりの字数を
抑えるのが理想的。
「分かりにくい」原因は単に長過ぎる文章に
起因しているかもしれません。
文章面2つ目が、
6)主語述語の不一致。
次に挙げる例は
参議院議員選挙公報に掲載された
ある立候補者の声(抜粋)です。
「(前略)物納であった税金は(中略)変更され、
江戸時代の通例は大変更したのです」。
あなたは違和感を覚えますか。
なぜでしょう。
文後半の主語は“通例”。
では述語は何か。
“変更した”です。
これは受身の文章ですから、
通例は変更“した”ではなく、変更“された”が正解。
他にも例えば「なぜならば」で始まる文章は「~である」が
一般的終わり方ですが、中には「~と感じる」などの
ちぐはぐな終わり方の構造文も。
こういった文章に遭遇すると「内容以前に問題あり」
として、人はその文書を読む気が失せます。
主述の一致、文章の必須要件です。
■「輸出関連を主な事業とする」のはX社かY社か?
文章面3つ目が、
7)不適切な修飾。
これも例を挙げます。
「輸出関連を主な事業とするX社近くにある中堅企業Y社」。
気づかれましたか。
これ、修飾に問題のある文章なんです。
「輸出関連を主な事業とするX社」とも取れますし、
「輸出関連を主な事業とする中堅企業Y社」とも解せます。
このようの複数の解釈ができる文章に出会うと
人は混乱します。
「あいまいな文書だね」と指摘されたら、
修飾に問題がないか疑ってみてもよいかもしれません。
文章面4つ目が、
8)誤解を招く接続語の使用。
例えば分析報告資料に以下のくだりがあったとします。
「販売サイドの私は評価しているが、研究者達にも好評だ」。
文法的間違いはありませんが、
「私は評価しているが」という文章の続きにおいては、
読み手は逆説の文章を想像します。
つまり「評価していない誰かがいる」
という想像の下に読み進むわけです。
ところが上記文章はそうではありません。
接続語には一般的な意味があり、
それを踏まえず使ってしまうと、
間違いではないけれど違和感を残す可能性があるのです。
文章短文化のためにも、安易に接続語を使わず、
句点(。)で区切ることを習慣化しませんか。
ビジネス文書に不安を感じたら、
上記8つの視点で確認してはいかがでしょう。
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