会社の数字が分かれば、仕事の仕方が変わります

■4つの利益と分析手法を1つ知れば、あなたも「できる人」

ビジネスパーソンにとって、
数字は切っても切れないもの。
分かっていてもとっつきにくいのが数字です。

そこで“これだけは押さえたい会社の数字とその意味”について、
解説いたします。

これを知るだけで、あなたの数字理解力、
格段にアップすること間違いなしです。

覚えていただくのは利益関連の4つの数字、
そして分析法(1つ)のみです。
一口に利益と言っても意味がけっこう異なります

中身を知らないとビジネスに支障をきたす可能性も。
新聞・雑誌などを読む際も知っていれば理解が深まります。
ぜひ使い分けていただきたいですね。

■粗利と“本業の儲け”の違いを知る!

早速説明に入りましょう。
図1をご覧ください。

架空会社A社のある年における
損益計算書(簡略版)です。
これを使い説明してみます。

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上から順番に行きましょう。

売上高」、
これについては説明の必要なしでしょう。

商品やサービスを販売し、
どれだけ収入を得たか、それが「売上高」です。

物を販売する企業は一般に仕入れを行います。
その仕入れにかかった費用が「売上原価」となります。
サービス業なら仕入れ無しというケースもありますね。

そして、「売上高」-「売上原価」=「粗利益」です。
「粗利」と呼ばれることもあります。
正式には「売上総利益」と言います。

企業はさまざまな費用を支払っています。
サービス業の場合は人件費が大きな負担と
なることも多々あります。

ですから粗利が多いからと言って
高収益体質とは限りません。

一つ目の「粗利益」、
よろしいですか。

続いて登場するのは
販間費」(正しくは「販売費及び一般管理費」)。

企業は売上高を少しでもアップさせようと
広告を打ち、営業します。

当然人手が必要ですから人も雇います。
すると事務所運営にもお金がかかります。
これが「販間費」の中身です。

「粗利益」-「販間費」=「営業利益」です。
いわゆる“本業の儲け”といわれるもの。

これを生み出せない企業は市場から淘汰されます。
倒産ですね。

営業利益は報道などでも多く取り上げられる数字ですから、
その意味、しっかりつかんでください。

■“ケイツネ”って何だろう・・・

先程、“本業の儲け”と言いました。
中には副業している会社もあります。

例えば製造をメインにする会社が、
莫大な土地を保有しており、その賃料が入るようなケース。
この収入を「営業外収益」と呼びます。

一方で銀行などから借り入れが多く、
金利をたくさん支払っている会社もあります。
こちらを「営業外費用」と言います。

A社の場合、
営業外収益以上に営業外費用が発生している、
という例です。

「営業利益」+「営業外収益」-「営業外費用」=「経常利益」です。
“ケイツネ”と呼ばれることもあります。

企業によっては本業(営業利益)がマイナスにもかかわらず、
営業外収益をたっぷり得て経常利益をプラスにしている
ケースもあります。

経常利益が多く出ていることは悪いことではありませんが、
営業利益が振るわなければ、その会社の長期的見通しは
暗いと言わざるを得ません。

■7割の企業が税金を払っていない???

さて、報道などで企業にかけられる
税率が話題に上ることがあります。

日本は外国に比べ法人税率が高いため、
企業活動上不利だ、という議論です。

税金」はこの「経常利益」に対してかけられています。

「経常利益」-「税金」=「当期利益」です。
はい、ここで疑問に思った方がいるでしょう。
「経常利益」が赤字だったら、と。

実は日本の7割の企業は“ケイツネ”が赤字であることから
法人税を払っていない、と言われています(注1)。
驚かれましたか。

それはさておき、
4つの利益、いかがでしたか。

「利益」という言葉が出てきた際は
「それはどの利益ですか?」と質問するぐらいになると
「できる人」の仲間入りですね。

■分析の際、見るべきは「総資本経常利益率」のみ

続いて、分析手法の話に移ります。
これさえ押さえればあなたも一人前、という数字のみ紹介します。
それが「総資本経常利益率」。

「何か難しくなってきたぞ」って方、
もう少しだけ我慢してお付き合いください。
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図2をご覧いただけますか。
企業は資本があって運営されます。

その合計が「総資本」。
一方、本業以外の収支含む「経常利益」。

この2つを使って算出するのが
「総資本経常利益率」
です。

極論を言えば、
この数字が改善していれば会社はまずまずの状況にある、
と言えます。

使うお金(総資本)が減るか、
経常利益が上向かなければこの数字が悪化しますから。

企業数字の分析手法は色々ありますが、
自分の会社、或いは取引先の状態を見ようと思ったら、
まずはこの数字に注目してください。

過去からの推移を見る、
あるいは同業と比べるのが一般的。

その上であまり芳しくないな、と思われたら、
「総資本経常利益率」を分解します。

「売上高」を組み合わせれば、
「売上高経常利益率」と「総資本回転率」が算出できます。

要は「総資本経常利益率」の芳しくない要因を
突き止める作業に入るわけです(注2)。
分析についてはこの程度にしておきましょう。

数字を見る場合、
このように一番の根っこからスタートし、
徐々に掘り下げる
というのが分析のセオリー。

この手法、本当に役立ちますから
ぜひ実ビジネスで活用ください。

企業の数字、ご覧いただいたようにそう難しくありません。
基本を押さえ、あなたのビジネスに積極的に
活用していただければ嬉しいです。

(注1)赤字の場合、法人税はかかりませんが、
    住民税など、赤字か黒字かに関わらず払うべき税金もあります。

(注2)企業数字の分析に関しては書籍が多数出版されております。
    興味の湧いた方は、ぜひ本屋さんに足を運んでみてください。

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「ビジネス系の本で一番のおすすめと言えば・・・」